衝撃のアドバイス!have toからwant toに書き変わった長距離ランナーのエピソード(用語解説:創造的回避②)
今回の用語解説シリーズは、前回の「創造的回避」という脳の機能について少し補足をする形でお話ししてみたいと思います。Want to、Have toの話も絡めてお話しします。
前回の記事はこちら
元祖コーチが語るコーチングと、あるクライアントの事例
元祖コーチのルー・タイス氏は2012年に亡くなったのですが、晩年に日本に来られた時の講演会に私は必ず参加していました。
その時にルー・タイス氏が説明してくれた、とても印象的な内容があったので紹介したいと思います。
実は『アファメーション』というルー・タイス氏の本の中にも書かれていることなのですが、ルー氏の講演会の中では、それが強いエネルギーをもって伝わってきた印象があるので、その印象をそのまま伝えたいと思います。
ルー氏が話してくれたのは、アフリカ・ケニアの長距離の陸上選手をコーチングした時の話です。
長距離の陸上選手なのですが、最後の400mラップの時に足が痛くなって走れなくなるという問題がありました。それを何とかコントロールする方法を教えてほしいとルー氏に依頼がありました。
長距離なので、最後の400mの最終ラップは非常にきつい戦いです。その時に足が激痛でどうしても走れないという状況をコントロールする方法を教えてほしいという依頼でした。
ルーは何と答えたかというと、「400m最後の一周が痛いなら、走らなければいいじゃないか」と。「トラックの内側に入って座って休めばいい」と言いました。
その選手は、「いやいや、その激痛から解放されて、最後の最終ラップを走って金メダルを取りたいんだ。オリンピック選手になって金メダルを取ると母国に戻ると牛が一頭もらえる。その牛が一頭もらえると家族も親戚も裕福に生活ができる。だから自分はオリンピックに出て金メダルを取らなきゃならない。最後の400mで足が痛いからと言って止めるわけにはいかないんです」と言いました。
ルーは「だったら走ればいいじゃないか」と答えました。
かなりシンプルな回答ですよね。足が痛くて走れません。だったら走らなければいいと。
「いや、走らなくてはならないんです。自分は走りたいんです」、「だったら走りなさい」と。
これがコーチングだというのをルーが言っていたのです。私はこの話に非常にインパクトを受けました。
Want toであればやればいいし、Have toを感じるならやめておいた方がいい。そして、その結果を受け入れればいい。
まさにそういう話です。そして、その選手はその後結果を出し、有名な選手になっていったということです。
このエピソードから学ぶことは本当にシンプルです。
Want toであればやればいい。Have toを感じるならやめておいた方がいい。
Want toだったらやる。Have toだったらやらない。以上。
これがコーチングだということをルーが説明してくれた時、シンプルだけど非常にエネルギーを感じました。
Have toなのかWant toなのかしっかり向き合うのが重要
ポイントは、Have toの状態でいくらやろうとしても苦しくなるばかりだということです。
なるべくやらなくていい正当な理由を考えつき、先送りする理由を考えつく。
そして先ほどの陸上選手の話でいうと、足が痛くなるんです。その選手はその後、自分のWant toにしっかりと向き合うことで、最後まで走り切ることができました。
その選手はゴールがWant toであることを確認し、未来のゴールを達成している自分はWant toなので、そこから逆算するとプロセスも全てWant toだということになりました。
このように、単に目の前のタスクを「やりたくないからやらない」ではなく、ゴールを達成する上で「やりたくなるかどうか」を吟味する必要があります。
非常にシンプルですが、パワフルなエピソードなので、ここでお伝えしました。
皆さんもゴールを設定し常にゴールをイメージしているけれども、「何かHave toを感じる」という方がいたら、まずゴールをきちんと見直すことが大事です。
周りから言われて刷り込まれた価値基準でWant toだと思い込んでいるだけかもしれない。
心の底ではHave toを感じているかもしれない。
ゴールをしっかりと見極めることをまずしてみてください。
それでもHave toを感じるなら、本当にゴールを達成している自分がWant toであるか、そしてそこに向かうプロセスが全てWant toとなるのかを考えてみてください。
ゴール側から見た時に本当にそれはHave toを感じるものなのか、Want toとなるのか、きちんと見極めるようにしていけば、24時間365日Want toだというコンフォートゾーンを作ることができます。
結果としてゴールを達成していくというコンフォートゾーンになっていきますので、ぜひここは改めてチェックしてみてください。
今回はルー・タイス氏のエピソードをご紹介しました。
ぜひ『アファメーション』をまだお持ちでない方はチェックしてみることをお勧めします。今回は以上です。
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